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9-S
「…という事で、佐久間がおヒマなときに、家にきてほしいなぁ…」
「じゃぁ…明日帰りに寄ろうか?」
「えっ!?」
なっちゃんのお願いを伝えてきた藤に、早速行くという返事をした俺。
只今、午後10時49分。
グッジョブ、なっちゃん!
「ってか、藤、オマエそーとーシスコンだよな」
「えーそうかなー」
そーだよ。
「小1の妹といまだに一緒に風呂入って、髪乾かしたり」
「フツーだよー」
普通じゃねーよ。
「写真のフォルダも"なっちゃん"が幾つある?」
「……年別に分けて、3つ」
動画のフォルダをカウントしたら、4だろ。
「そーとー」
「……シスコンです」
こないだ写メ見せてもらったが、なっちゃんは確かに可愛いかった。
それに、
「まぁー実を言うと、藤をそんだけメロメロにする"なっちゃん"、会ってみたかったんだけど」
藤に似てたし。
「……佐久間」
「だから、ロリコンじゃねーからな」
「ハイ」
いい加減、俺をロリコンにするのはやめろ。
「でも、嬉しいかも。なっちゃんが、俺に会いたいって言ってくれて」
それは本当。
藤が、なっちゃんに俺の事どう話してるか気になるし。
「…うん、なっちゃんも佐久間と遊ぶん
だって張り切ってる」
「そっか。俺、小さい子と遊んだ事ねーからな。期待に添えれるか心配だな」
「…うん」
ついさっきとは明らかに違う、沈んだ声の藤。
「藤、どうかしたか」
「…ううん、何でもないよ。俺も楽しみ、佐久間が家に来てくれるの」
何でもあるような声だが。
「…藤、ウソつくなよ。ホントに、何でもないのか」
「…うん、何でもないよー!」
そんなことないだろ。
この数分で何があった。
「ならいいけど…」
「……」
全くもってよくないが、あんまり言うのもなぁ。
「子ども心を掴むのに、お菓子か何か持っていった方がいいか…。なっちゃんの好みってどんなん?」
とりあえず、明日の事だな。
「…帰りにコンビニ寄って決めよう」
「そうだな」
本当にオマエは、嘘がつけねー奴だな。
「あ、それと」
ったく、しょーがねーな。
「藤の好きな浪花屋のたい焼きも買って行くか」
「う、うん!」
本当にオマエは、現金な奴だな。
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