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10-F
「ただいまー」
「こんにちはー。おじゃましまーす」
帰宅の挨拶をする俺と来訪を告げる佐久間。
そして…、
「ふーちゃーん、おかえ、あーーー!」
奇声を発してお出迎えをしてくれたなっちゃん。
只今、午後4時17分。
なっちゃん、びっくりしすぎだよ。
そんなにびっくりすると、お目めが落っこちちゃうよ。
「なっちゃん、声が大きいよ。さ、森保君もびっくりしちゃうでしょ」
となっちゃんに言った俺に、佐久間は気にする様子もなく、
「元気がいい証拠だろ」
と笑いながら俺に言うと、おもむろにしゃがんで、
「初めまして、なっちゃん。"森保佐久間"です。よろしくお願いします」
紳士な笑顔でなっちゃんに自己紹介。
…今の佐久間、不良イケメンじゃなくて、好青年イケメンだ。
「わーーー、もりやすクン、イケメンだー!」
やっぱり兄妹、思うことは一緒なんだね。
すると佐久間は…、
「ありがとう、なっちゃん」
満面の笑みでそう言いって、なっちゃんの頭をなでなで。
なっちゃんも、嬉しいのか顔がニコニコ。
佐久間、なっちゃんはもう小1だよ。
「あ、ごめん、ふーちゃん!ふーちゃんもイケメンだよ!ホントだよ!」
不貞腐れてたのが顔に出ていたようで、なっちゃんが慌ててフォローしてくれるっていう。
ち、違うんだよ、なっちゃん。
俺が不貞腐れてたのは…。
「ハハッ!なっちゃんは、良くできた妹だな」
佐久間は軽快に笑いながら俺の方を見上げた。
イケメンがする上目使いの破壊力…。
そりゃ、不貞腐れも一気に吹っ飛ぶよ。
「じゃあ、なっちゃん、お兄ちゃん達は手洗いうがいをするから、リビングで待ってて」
「はーい!」
なっちゃんは、パタパタと小走りでリビングへ向かった。
「改めて、どうぞ上がって。洗面所、コッチね」
佐久間は、靴を脱ぐと、端に揃えた。
時々思うんだけど、佐久間って育ちがいいのかな。
見た目不良なのに、こういったトコしっかり出来てるんでよね。
そんな事を考えていると、
「藤、オマエ"ふーちゃん"って呼ばれてるのな」
佐久間がクククッと笑いながら俺を見た。
そして…、
「いいな、"ふーちゃん"呼び。俺も今度からそう言ってもい?ねぇ、ふーちゃん?」
イタズラ好きの少年のような笑顔をかましてきた佐久間に、瞬殺される俺。
主人公の必殺技、多すぎない?
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