21 / 33
10-S
「ただいまー」
「こんにちはー。おじゃましまーす」
帰宅の挨拶をする藤と来訪を告げる俺。
すると…、
「ふーちゃーん、おかえ、あーーー!」
熱烈なお出迎えをしてくれたなっちゃん。
只今、午後4時17分。
なっちゃんは、藤が言うように可愛い。
特に、その大きな目は、藤にそっくりで可愛い。
「なっちゃん、声が大きいよ。さ、森保君もびっくりしちゃうでしょ」
となっちゃんに言った藤。
"お兄ちゃん"してる藤が微笑ましい。
「元気がいい証拠だろ」
とりあえず、第一印象が大事だからな。
「初めまして、なっちゃん。"森保佐久間"です。よろしくお願いします」
笑顔で自己紹介はマストだな。
「わーーー、もりやすクン、イケメンだー!」
その顔も、藤そっくり。
「ありがとう、なっちゃん」
つい頭を撫でたが、なっちゃんも嬉しそうにしているので、大丈夫だろう。
なっちゃんの笑顔、まさに天使の笑顔だな。
そう思っていると、
「あ、ごめん、ふーちゃん!ふーちゃんもイケメンだよ!ホントだよ!」
なっちゃんが藤の方を見て、慌てて褒める。
藤は、なっちゃんを取られたと思ったのか、若干不機嫌そうな顔をしていたようだ。
「ハハッ!なっちゃんは、良くできた妹だな」
見上げて藤にそう言うと、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
ちょ、藤…。オマエもなっちゃんに負けず劣らずだな。
「じゃあ、なっちゃん、お兄ちゃん達は手洗いうがいをするから、リビングで待ってて」
「はーい!」
優しい声でなっちゃんに言う藤と、それに笑顔で応えるなっちゃん。
いつもの兄妹のやり取りか…。
「改めて、どうぞ上がって。洗面所、コッチね」
…羨ましいな、オイ。
「藤、オマエ"ふーちゃん"って呼ばれてるのな」
だから、ちょっと俺も混ぜてほしいなー。
「いいな、"ふーちゃん"呼び。俺も今度からそう言ってもい?ねぇ、ふーちゃん?」
いつもの"藤"もいいけど、"ふーちゃん"も捨てがたい。
ねぇ、ふーちゃん?
どっちのオマエも、俺にちょーだい?
ともだちにシェアしよう!