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14-F
「あ"〜〜〜いい気持ち〜」
久しぶりにゆっくり湯船に浸かる俺。
只今、午後9時54分。
今日は、色々あり過ぎて疲れたなぁ〜。
「藤、俺がなっちゃん寝かしつけとくから、その間に風呂入ってこいよ」
キッチンで夕飯の後片付けをしていると、佐久間が声をかけてきた。
「もうなっちゃん寝そうだし、あとは俺がしとくから」
リビングの方を見ると、欠伸をして眠そうに目を擦るなっちゃんが見えた。
「え、いや、でも…」
「いいから、いいから」
そう言って、俺が持っていた食器をひょいと取った佐久間。
「ハイハイ、行った行った」
笑いながら手をシッシっと動かす。
「そ、それじゃぁお言葉に甘えてお風呂行ってきます」
「ほいよー」
*****************
湯船に浸かって、思い返す。
……。
何か、急に色んな事がいっぺんに起きたなぁー。
昨日の夜、我が家に遊びにきてほしいと言ったら、二つ返事。
夕飯食べてく?からの、泊まってく?もさらっとOK。
そして、夕飯の後片付けアンドなっちゃんの寝かしつけまで。
…はぁ、今日の後半は嵐のようだった。
学校での佐久間しか知らなかったから、ウチに来てからの佐久間は新鮮だったなぁ。
なっちゃんに自己紹介をする佐久間。
なっちゃんとトランプする佐久間。
なっちゃんとじゃれ合う佐久間。
……。
うん、ほぼなっちゃんが佐久間独占。
確かに、なっちゃんが佐久間に会いたいって言い出さなかったら、今日はなかったんだけど…。
それでもやっぱりなっちゃんに、あいむじぇらす。
もっと佐久間と話したかったなぁー。
もし、今日なっちゃんがいなくても、あんな風に優しく笑って、俺に話しかけてくれたのかなぁー。
いつもの佐久間の顔も好きだけど、なっちゃんに向ける顔も好きだなぁー。
……。
…好き?
…何を、好き?
……。
うん、今日は色々あって、俺の頭は疲れているんだ。そうだそうだ!
うん、お風呂で長いしすぎて逆上せかけてるんだ。早くあがろうあがろう!
一瞬、頭の中によぎった事を、シャワーの水とともに流そう流そう。
でも…、この気持ちは…、シャワーの水なんかじゃ、とてもじゃないが流しきれない気がする。
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