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16-F

***************** あ、佐久間だ! 俺が佐久間に擦り寄ると、佐久間は頭を撫でてきた。 くすぐったいけど気持ち良くて、もっと擦り寄る。 すると、ヒョイと俺を持ち上げた佐久間。 佐久間の腕の中はあったかくて、今度は胸に擦り寄る。 先ほど頭を撫でていた手が、頬を撫でる。 嬉しくて、思わずペロっと佐久間の指を舐めた。 "あ、しまった!?"と思い、恐る恐る顔を上げると、甘い顔の佐久間が目に入る。 その顔がまた嬉しくて、何度も何度も指を舐める。 佐久間が目を細めた。 急に心臓がドキドキしだす。 『藤』 佐久間の顔が近づいてくる。 ドキドキしているのに、俺も佐久間に顔を近づける。 『藤、俺の名前呼んで』 ごくりと息を飲んで呼ぶ…。 『にゃぁ〜』 ん?にゃぁ〜? 『わー、にゃんこだー!』 突如なっちゃんが現れた! しかも、デカい! そして、俺は猫!? 『にゃんこ、にゃんこ!』 いつの間にか佐久間はいなくなり、大きななっちゃんが、ぎゅーっとハグしてきた。 く、苦しい…。 苦しいぃ…、 『に"ゃぁぁぁ』 ***************** 「あ"ーーーーーーー!」 バッチっと目を開ける。 「ゆ、夢?」 重いと思って首をあげると、なっちゃんが俺の上に、仰向けで乗っかっていた。 どおりで苦しかったわけだ。 「よいしょ!」 なっちゃんを元の位置に戻す。 横の佐久間を見ると、まだ寝ていた。 よかった、俺の叫び声で起こさなくて。 それにしても、久しぶりに夢を見たなぁ。 佐久間の寝顔をこっそり確認。 「へへっ」 うん、寝顔も勿論イケメン! 日本人にしては彫の深い顔を、障子からの朝日が照らす。 彫刻のような佐久間に、朝からドキドキしてしまう。 心臓に悪いので視線を外して、時計を見る。 只今、午前7時30分。 とりあえず布団を畳んで、朝ごはんを作りますかな。 佐久間は和食派かな?洋食派かな? 「藤」 夢で聴いた声の方を向く。 「おはよう」 夢で見た甘い顔がそこにあった。 ホントは気づいてたんだ。 はじめっから。 『…見てんじゃねーよ』 そう言って目をそらした君に、初めから…、落ちていたことに。

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