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その2
学校は楽しい。
クリスは嫌がるけど、みんなとふざけるのは面白いし、お弁当は美味しいし、競技会はワクワクする。
遠足ではきれいな青いトカゲを捕まえたんだ。トカゲは尻尾を置いて逃げた。尻尾は切れてもぴくぴく動いて面白いからお土産に持って帰ったらお母さんに嫌がられた。
こんなに面白いのに!
ある夏の朝、クリスより早起きしたので起こしてあげようとシーツを引っ張った。
「クリス! たいへん!! 起きてー!!」
「んー……おはよー」
「クリス、痛くない? 病気!?」
「……なんともないけど」
「だってここ、腫れてる!」
「……病気じゃないし、痛くないよ。兄ちゃんはならないの?」
「痛くないの?」
「少し苦しいかな? トイレに行けば治るから」
「! しっこ我慢しすぎたの!?」
「……違う。大人になったの。兄ちゃんも大人になったら時々こうなる……と思うよ?」
「えぇっ!? ……やだ、こわい」
「怖くないよ」
「ホントに本当?」
「大丈夫。トイレ行ってくる」
「うん。早く治るんだよー」
「やめて! 撫でちゃダメ!」
「やっぱり痛いの!?」
「もう! 良いからトイレ!!」
そうだった。
ぼくが降りるとすぐ、クリスはトイレに行った。ぼくも次にしっこしよう。
外ではいつもクリスに運んでもらってるけど、家ではちゃんと自分で歩いている。トイレも行ける。
ドアは下の方が開いてるし、フタはぼくのために一部分だけ開くようになっている。クリスが寝てて手伝ってもらえない時用にお父さんが改造してくれたから。
クリス、長いなぁ。
ぼく、漏れちゃうよ。端っこ使わせてもらおうかな。
「くっ……!」
トイレに付けたハシゴを登ってふと見上げると、クリスが腫れたそこをなでなでして苦しそうに呻いた。そうしたらそこから白いモノが出た。
「クリスっ!! やっぱり痛いの? 膿が! 膿が出たよ!」
「わぁっ! 兄ちゃん!! なんで!?」
「だって、漏れちゃう……」
「……ごめん、でもこれ膿じゃないから。これは、その……赤ちゃんの種で、古くなる前に出さないと体に悪いんだって」
「赤ちゃんの種? 赤ちゃんて種からできるの?」
「兄ちゃん、漏れそうなんじゃないの?」
「そうだった!!」
思い出して慌ててしっこしたら、赤ちゃんの種の事は忘れてしまった。
「すげぇ! お前でかいな!」
教室でそんな声が聞こえた。
何が大きいのかとそちらを見ると、クリスと同じ所が腫れている。
そうだ!
赤ちゃんの種だ!
「クリス! あれ、クリスと一緒? 赤ちゃんの種出すの?」
「やめてよ兄ちゃん!」
「お? クリスも精通してんの? しれっとしやがって……大きさ比べようぜ!」
「アホか!!」
周りがやれやれと囃し立てる。
「ミノル、俺とクリスどっちがでかい?」
「おまっ! 教室で出すなよ!」
「お前ら兄ちゃんにそう言う話を聞かせるな!!」
ズボンを下着ごとずり下げてぼろんと出したそれはクリスと同じくらい?
「同じくらいかなぁ? はっきり見てないから分かんない。クリスー、見せてー」
「兄ちゃん!」
顔を真っ赤にして怒るクリス。怒る事なの?
「お前ら、兄ちゃんに気を使えよ! 兄ちゃんこんなサイズだから恋人なんか無理だろ!」
がーーーーんっ!!
クリス、ぼくに気を使ってたのか。
こいびと……こいびと?
「ねーねー、こいびとって?」
シーン……
あれ?
「そこからか……」
「ミノル、俺たちが悪かった」
「純粋なままでいてくれ」
恋人って何か、誰も教えてくれなかった。
「おかーさん、こいびとってなぁに?」
「あら、好きな人ができたの?」
「好きな人? こいびとって、好きな人の事?」
「そうよ。いつか結婚したいなぁ、って思うような人が自分の事を好きになってくれたら恋人になれるの」
「おとーさんとおかーさん?」
「そう。お父さんとお母さんは恋人になって、家族になろうって約束して結婚したの。おじいちゃんとおばあちゃんと離れて2人で家族になったの」
「ぼく、おとーさんとおかーさんとクリスより好きな人いないよ」
「そうね。でもいつか今の家族より好きな人ができるかも知れない。ミノルと同じくらいの大きさのお友達が見つかれば、そちらと仲良くなるかも知れない。そんな人が見つかったら、お父さんやお母さん、クリスに紹介してね」
「うーん……分かった。そう言う人ができたら紹介する!」
夕飯の時にいつか恋人ができたら紹介します!って宣言したらお父さんとお母さんはにこにこしてたのに、クリスが変な顔してた。なんで?
「ねぇ、あの子、なんでちんちんの大きさ比べようって言ったの?」
「……大きい方が喜ばれる、らしい」
「誰に?」
「恋人」
???
夜、寝る前に思い出したので聞いてみた。
家族になりたい人はちんちんが大きいと喜ぶの!? え? ぼく、ちっちゃいよ!
「……じゃぁ、ぼくちんちんちっちゃいから恋人できないの?」
「そこだけじゃなくて、体が同じサイズの相手じゃないと抱きしめ合うこともできないでしょ?」
「でも、ぼくみたいな大きさの子、他にいないよ?」
「見つかってないね。でも見つかってないからいない訳じゃないと思う。兄ちゃんがいるんだし、どこかに兄ちゃんのお父さんとお母さんがいるはずだから」
うーん……
お父さんとお母さんはもういるから、小さいお父さん達は別にいらないかな?
「とにかく、身体が大人になってからだよ」
体の中に種ができてちんちんが腫れたら大人?
「……怖いから大人にならなくても良い」
「別に怖くないけど、兄ちゃんが同じかどうか分からないよね。もしかしたら卵から生まれるかも?」
「え!? まさかぼく、ドラゴンバードの子供???」
「まさか!?」
慌てておとーさんに聞きに行ったらドラゴンバードの子供はふさふさの羽毛と嘴と歯があるんだって教えてくれた。良かった!
クリスが笑い転げてる。
騙したなー!
今度仕返ししてやる!と心に誓って眠った。
ふふふふふ……
クリスより早く起きたぞ。
昨日の仕返しにズボンとパンツの紐を解いてやる! これで起きた時に転んじゃうかも知れないな!
ごそごそごそごそ……
「んしょ、んしょ……できた!」
ついでにしっかり緩めておこう。
もぞもぞごそごそ。
「兄ちゃん……、何やってんの?」
「あっ! クリスおはよう!! 何にもしてないよ!」
「いや、人のズボンに潜り込んで何のイタズラだよ」
「イタズラしてない! 昨日笑われたお返しとか考えてない!」
「あー……そんな所でもぞもぞされたらこうなっちゃうから、止めて?」
また腫れている!
あれ? 赤ちゃんの種が古くなったら出すために腫れるんじゃないの?
「兄ちゃん、人が嫌がることしちゃダメだよね」
「う……うん!」
「じゃあ兄ちゃんはここもぞもぞされるのは嫌じゃないんだよね?」
「う……ん?」
ずるりとズボンを下ろされてシャツ一枚にされた。そしてちんちんをツンツンされる。
「全然イヤじゃないよ!」
「じゃ、これは?」
すりすりすり。
「そんなとこ撫でられるくらいイヤじゃないよ」
「ふーん……」
ちゅぷ
ぬるん!
「うひゃあ! なにそれ、変な感じする! やぁっ……!」
クリスが舐めてヨダレでぬるぬるにした指でちんちんを撫でた。ぞくぞくしてぴくぴくと身体が跳ねる。
「兄ちゃん剥けてる? 小さくてよく分からないけど、気持ちいい?」
「わ……かんなっ! はひゃっ!」
初めての痺れるような感覚に振り回された。
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