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その3
頭が真っ白になって、目がチカチカした。
「兄ちゃんごめん! やり過ぎた? 大丈夫?」
「ふわぁ……あぇ……? 何、が……?」
「だいじょうぶ……?」
大丈夫と言えば大丈夫だし、ダメだと言えばダメかも知れない。
「……わか、ない……」
ぼくはそのまま寝ちゃった。
……あっ! 学校!!
良かった、クリスがちゃんと服を着せて連れてきてくれてた。
「おはよう」
「兄ちゃん、授業これからだよ。ごめんね」
「なんでごめんね?」
「だって……」
「最初にイタズラしたのはぼくだから仕返しされても文句は言えないよ?」
「でも……」
「いーからいーから。ぼくもイタズラしてごめんね? 仲直りね?」
「うん」
笑われたくらいでイタズラするのは兄として大人げなかった、と反省した。
……でもさっきの、ビックリしたなぁ。
と、思い出していたらちんちんがぴょこんと勃った。なんで!?
(クリス、クリス! なんでか、ちんちんが硬くなった!)
(……何を考えてたの?)
(朝、クリスに仕返しされた事!)
(……気持ち良かったの?)
「分かんない!」
「ん? ここが分からないのか? 昨日の続きだぞ」
声が出てしまって先生に注意された。
「ミノルまーた寝てたんだろー?」
「寝てない! 分からないのは勉強じゃなくて……」
「兄ちゃん……!」
あ、クリスが怒ってる気がする。
うん、あんな事されて寝ちゃったなんて言っちゃダメかもな。
「えーとえーと……お弁当の中身です!」
「あははははっ!」
「まだ1時間目だぞ」
「朝食食べてこいよ!」
爆笑されたけど、誤魔化せたかな?
そう言えば朝食食べてないからホントにお腹空いたなー。
休み時間にブルーベリーを1粒食べてお腹いっぱいになった。
ちなみにお弁当はパンケーキとポテトサラダ。もちろん美味しかった!
家に帰ってクリスと話し合う。
朝のアレはなんだか分からなかったけど、「イク」と言う事らしい。……たぶん。
あそこをぬるぬるにして擦るとちんちんが硬くなって種が出て気持ち良くなるのだそうだ。いつか結婚して赤ちゃんを作りたくなるように神様がくれた気持ち良さ。
……ぼくにはよく分からなかったけど。
でも思い出すと硬くなるから気持ち良かったのかな?
「クリス、よく知ってるね」
「まっ、まぁ、必要だったし!」
初めて赤ちゃんの種が出る精通ってのをして、お父さんから聞いたと言う。ぼくも精通するのかな?
「せいつうってどうなるの?」
ちんちんが硬くなるだけならすでになっている。でも赤ちゃんの種は出た事がない。
「よく覚えてないけど、誰かに身体を触られる夢を見て、気持ち良くなって、目が覚めたら赤ちゃんの種が出てた」
「夢かぁ」
「人によっては何となく触ってたら気持ち良くて、いつの間にか出た、って事もあるんだって」
「ぬるぬるにしなくちゃなんでしょ?」
「乾いてると痛いの。だから種が出る前に透明なのが出て、ぬるぬるするんだよ」
「そなの? 出るかな?」
パンツを下ろして少し硬くなり始めたちんちんを撫でてみた。
「あっ! ぬるぬるする!」
クリスにイタズラされた時はビリビリしたけど自分ですると擦るたびにはにゃんてなる。どんどん硬くなるそこをやわやわ擦るのが止まらない。
「は、ゃ……んっ! ふわぁ……あっ、んぅっ!!」
ぞわそわする感じがちんちんにに集まって息が荒くなり、身体がビクビクして朝と同じように頭が真っ白になった。
そして手にも白い物がぺっとりと付いていた。
「……なんか白いの出た。気持ち良かった、かも?」
「兄ちゃん……おれに見られるの恥ずかしくないの?」
「なんで? クリスとは一緒にお風呂も入るし、しっこもするし、恥ずかしくないよ」
「ちんちんいじってる所なんて見られたら恥ずかしいだろ?」
「んー……? クリスなら平気。クリスは恥ずかしいの?」
「当たり前だろ!?」
当たり前なのか。
ぼくは全然恥ずかしくないんだけどなぁ。いや、学校の友達に見せるのはもちろん恥ずかしいけど。
なんでかなー、とか考えてたけど答えはでないまま夕飯になりました。
「おとーさん、さっきちんちんから白いの出た!」
「「「ぶはっ!!」」」
あれ?
「兄ちゃん!!」
「そ、そうか」
「よ、良かったわね! ミノルも大人になったのね」
「……ナイショにしておく事だった?」
「恥ずかしい事ではない、が。食事時にする話ではないかな」
「あ、そっか。ごめんなさい」
ちんちんの話だもんね。ご飯中はダメだよね。食後のお茶を飲みながらお父さんの話を聞いた。
「ミノルが私たちと同じかどうか分からないが、家族として同じ人間だと考えて話をする。人は大人になると誰かを好きになって、その人の子供を産みたい、またはその人に自分の子供を産んで欲しい、と考えるようになる。そうでない人もいるが、だいたいはそうだ。そしてそのためにまず、身体は子供の種を作り出す。それがさっきミノルの言った白い物だ。ここまでは分かるか?」
ぼくは真面目に頷いた。
「そして好きな人に好きだと伝え、相手も自分を好きになってくれたら、どちらが子供を産むか相談する。そして子供を産む方、つまりお母さんになる方の身体にお父さんになる方が赤ちゃんの種を何度も入れると、それを元にして赤ちゃんの卵と、その卵を育てる部屋ができるんだ」
「卵? 赤ちゃんは卵から生まれるの?」
「卵のままお母さんの身体から出てくるんじゃない。お腹の中で赤ちゃんになって、おっぱいが飲めるようになったら生まれてくるんだ」
「お腹の中ではご飯食べないの?」
「お腹の中ではお母さんと繋がっていて、栄養を分けてもらってるんだ。そして生まれたらおっぱい、離乳食、ご飯の順に食べさせて大切に育てる。ミノルはクリスが生まれた頃を覚えてるか?」
よく考えて思い出す。
「ぼく、自分より大きな赤ちゃんが生まれてびっくりした! あと、泣き声は大きくてうるさいのに危ないからって、撫でてあげられなかった。寝てる時しか近くで見てないけど、すごくかわいかった!」
「そうだ。赤ちゃんは喋れないから泣いて色んなことを知らせる。お父さんもお母さんも、なぜ泣いてるのか、一生懸命理解しようとした。そしておっぱいを飲ませ、オムツを替え、お風呂に入れて着替えさせ、眠らせる。そうやって赤ちゃんが大きくなるんだよ」
「大変そう」
「幸せだけど大変だよ。だから、大好きな人とパートナーになって協力し合って育てるんだ。気持ちがいいからってだけで赤ちゃんが出来るような事をしてはいけない。どちらが一方の気持ちを押し付けるのもダメだ」
「赤ちゃんができるような事って気持ちいいの?」
「赤ちゃんの種が出た時、気持ち良かっただろう?」
「うん。最初はよく分からなかったけど、2回目は気持ち良かった」
「それがもっと、心も身体も気持ち良くなるんだ」
「……よく分からない」
「まだ想像できないだろうが、1人でするより好きな人と一緒の方が嬉しい、って事だ」
「それなら分かる!」
「で、赤ちゃんを作るのは気持ち良いけど、赤ちゃんが生まれた時のことを考えて結婚したい人としかそういう事をしてはいけないんだよ。でも身体は真面目に赤ちゃんの種を作るから、いっぱいになったら新しい種のために古い種を出すんだ。健康のために」
話が長くて難しかったけど、何となく分かった。でも新たに気になる事が。
「赤ちゃんの種をお母さんになる人に入れるのって、どこに入れるの?」
ぼくの質問にお父さんは真面目に答えてくれたけど、とにかくビックリした。
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