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第26話

大好き…大好きなんだよ…翔琉…それなのに… また準備室で声がしてる… 2年になった秋だった。 ここに来てもう何度聞いたんだろう 翔琉への告白。 何でいつも僕が来るときに限って… わざと?わざとその時に呼んでる?僕から別れを切り出させるため? 足早にその場を立ち去る。 荷物を教室に置きっぱなしだったので戻ると今年もまた同じクラスになった隼人がいた 「あれ?水無瀬?新庄先生の用事終わったの?」 「あぁ。お取り込み中だったから一旦戻ってきた。何時になるかわかんないし忘れたふりして帰ろうかな」 「流石だなぁ…新庄先生。相変わらず…」 「元気だよねぇ。僕たちより10も上なのに」 「俺も誘われたら行くわぁ…」 「はぁ…そう。物好きだね」 そういう僕が一番物好きなんだろうな…他にいるってわかっているのに…沢山いる期間限定の恋人の中の一人でしかないのに…諦められないんだから 「水無瀬相変わらず冷たいなぁ」 「そうかな?」 「水無瀬は?もし誘われたとして行く?」 「さぁね」 「ねぇ…水無瀬」 「ん?」 何か言いたげに何度も口を開いては閉じている隼人を見る 「隼人?」 「あんだけお前を呼ぶのにお前は新庄先生とそういうのやんないの?」 「…ナイショ」 「えぇ!?」 くるくる変わる隼人の表情が面白くて思わず吹き出す 「ふふっ…隼人。面白い顔…ははっ…」 「…っ…お前…っ…可愛すぎ。その顔」 頬を染める隼人を見下ろす 「あれ?惚れちゃった?僕に」 「うっせ」 「ははっ。冗談だよ。隼人は僕が素でいられる限られた人だからついね。これからも仲良くしてね」 複雑な表情の隼人に僕は気付かなかった

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