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第34話
校舎を出た後忘れ物に気が付き取りに戻った
クラスのみんなに再度謝罪し廊下を歩く賑わうメイン会場を通るのが嫌で少し遠回りして別校舎から入ってきた僕は同じように出ようと連絡通路を渡る
こちらでは何も行われていないので別の世界
人はいないはずの階段から話し声が微かに聞こえた
でもそこを通らないと帰れないため仕方無く歩みを進め静かに迷惑にならないように極力すれ違うまでは気付かれないようにと階段を下り始め後数段で踊場。
踊場には大きな鏡がある
ふとそこに映る2つの影。1つはまだちゃんと写ってないから顔はわからないけど背の高い男。多分こっちは教師。そしてもう一人は背の低い可愛らしいどうみても年上には見えない良く知った顔。
この学校の生徒会長様。神無月 望
男にも女にもとても人気がある人でいつも付き人みたいに多くの生徒が囲んでいるが珍しく誰も連れていなくて
どうしたものかと一瞬立ち止まる。
するとゆっくり教師の方が神無月に顔を寄せた
キス…してる?長いこと顔を合わせている
神無月にはとても仲の良い恋人がいるという噂は前々から聞いていたがまさか教師とは…清廉潔白な彼女がまさか教師との禁断の愛を育んでいるとは誰が想像できるだろう
出ていくことが躊躇われたがここでこうして二人を見ているわけにもいかないのでもう一段階段を降りた。その時二人の体が離れ鏡に男の顔が写り込んだ
教師だから顔を知っているのは当たり前のことだが…
頬を染め目を赤くし潤ませた神無月が男を見上げると男は肩を抱き神無月を連れていった。
これから事に及ぶのかもしれない…あんな潤んだ大きな目で見られたら男なら神無月を欲しいと思うだろう。
行った方向は保健室だし今日は使われていないし…誰も来やしないだろう
神無月は魅力的だから…誰もが欲しがる。
でも誰にも靡かない強い意思を持つ人…その人が選んだ本命が彼なのだろう。
二人の気配が消えゆっくり降りる…
やっぱり直接…正確には鏡越しだが…あんなに仲良さそうな二人を見ると苦しい…
「翔琉…やっぱりあなたは…」
噂を信じたくなくてずっと目を背けていた。でも結局これが現実…
でも別れたくないのもまた現実で…この日の事忘れた振りをして僕はまだ翔琉の隣にいたいと思う。
神無月は申し訳ないけれどどうしても離れたくない…卒業したらちゃんと帰すからまだ側にいさせて…
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