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第37話
その日は体を繋げずただ抱き合って眠った。
翔琉の温もり…沢山沢山この身に覚えていたい…
翔琉の薫りを沢山沢山吸い込んで僕も翔琉の一部になりたい…一部になれたらずっと一緒なのに…
叶わない願いを胸に秘めたまま翔琉にすがり付く
こんなに好きにならなければ良かった…どうせ期間限定の関係だったなら出会いたくなかった…でも出会いたかった…
何度も繰り返す矛盾した考え。でも結果は変わらない
後一年で僕はもう翔琉の側にはいられない
これが結果。変わることのない事実…
翌朝今日も学校だから翔琉は早めに帰っていった
今日も会長と過ごす?それともまた別の誰かと?
「おはよ。水無瀬」
「おはよ。隼人。昨日はあの後大丈夫だった?」
「お前目当てだった人がかなりいて結構大変だった」
「ごめん。もうあの人たち帰ったから今日は大丈夫だから」
教室に行くと委員長が頭を抱えていた
「おはよ。昨日はごめんね」
「水無瀬くん。おはようございます」
「どうしたの?」
「…水無瀬くん…大変申し訳ないのですが…」
委員長の手に握られていたスケジュールに目を通す。
あ…なるほど…
「これで大丈夫だよ。昨日の分も僕頑張るから」
「すいません…私もお手伝いしますから」
「委員長は部活の方もあるんだから今日はそっちに集中してもらっていいよ。こっちはなんとかするよ」
「ありがとうございます」
今日は僕の休憩は30分。昼食の時間だけしかない。だから見て回れない。
でもそれでも良かった。その方が良かった。
教室にいれば翔琉と会長が一緒にいる姿を見ることが無くなるから。ここに来ない限りは。
教師がやって来るのは見回りくらいのときだから大丈夫だ
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