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第38話

目まぐるしく時が過ぎていく。 昨日以上のお客さんの数 あっという間に夕方になる。 これから片付けして…後夜祭は…どうしよう? 「水無瀬。お疲れ様」 「お疲れ様。隼人」 「この後どうするの?」 「ん~…」 「また呼び出しあってんの?」 「ああ…手紙いくつか無理やりポケットにねじ込まれたけど?まだ見てない」 「うわ…流石…」 一つ一つくしゃくしゃになった手紙たちを開いていく 可愛らしい文字であの木の下に来て欲しいという文面が目にはいる。 「はぁ…」 わかってはいたけど全て同じ内容だった。 「さて…どうするか…」 「みーなせっ!!」 「あっ!」 思いっきり後ろから隼人に飛び付かれる 「痛い…」 「ごめんごめん。んで手紙は?」 「ん…想像通り。取り敢えず行くね。わざわざみんな書いてくれたから」 「そういうとこ…」 「え?」 「何でもない。いってらっしゃい」 今年も後夜祭は諦めた みんなが帰った頃にはキャンプファイヤーの火は消えパチパチと残ったものが弾けているだけ 銀杏の木に背を預け座り遠くの音を聞いていた。 みんなが見ているのは僕の見てくれだけだろう。きっと本当の僕を知ればみんなは離れていく。翔琉がそうなるであろうから 人影が反対側で動く。あぁ…まだいたんだ…誰かが… 「好きです」 盗み聞きはダメだってわかってるけど今動けば逆にダメな気がして息を殺した 月明かりが二人の影を伸ばしていた。 相手の声は僕の真後ろにいるからか聞こえないけれど2つの影が1つになったことによって抱き合い顔を寄せるのがわかる。 思いが通じて良かったね。並んで歩き去っていく二人の背中を見つめた 「僕も…他に好きな人を作ればいい?楽になれる?」 月を見上げて呟くけれど結局僕は翔琉じゃないとダメ… 何度も繰り返すこと…翔琉が好きなまま他の子といたってその子にとってはひどい話。そんなの人としてどうなの? 自分が楽になりたい。それだけで相手の貴重な時間を僕に削って欲しくない 「水無瀬。まだここにいたの?」 「なんか戻るタイミング逃しちゃって」 「帰ろ。荷物持ってきた」 「ありがとう」 隼人に手を差し出されそれを掴むと強い力で立ち上がらせてくれた 「んで?やっぱみんなお断りしたの?」 「うん」 「そっか。好きな人いるの?」 「いるよ。ずっと変わってない。叶うこともないけどね」 「水無瀬なら大丈夫だろ」 無言で首を左右に振る 「そう…あのさ…」 「ん?」 「何でもない」 その後は帰る方向が途中まで同じだから後夜祭の話を聞かせてもらった 楽しそうだなぁ…なんて思いながら相槌を打つ 「んじゃ。また火曜日ね」 「じゃあな」 「水無瀬」 隼人が急に抱きついてきたそして僕の背中を撫でる。身長が同じくらいなので真横に顔がある 「水無瀬…頑張ったね。好きな人…気持ち伝わるといいね…」 「何それ…」 「よし!水無瀬パワー吸収。お前ほんといい匂いする」 「変態臭い」 「みんながしたいことしてやったぜ!俺ってばヒーロー」 「ばぁか。」 「じゃね」 去っていく後ろ姿を見送り踵を返す。 みんなに申し訳ないって苦しかったのわかったんだろう。だから隼人なりの慰めだったんだろうな。 あいついい奴だから 「水無瀬…好きだよ…俺じゃダメかな…」 隼人が呟いたそんな想いに僕は気付かない

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