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第40話

兄が来てからは翔琉のこと考える暇もなくなった。 兄はほとんどの時間を僕のところで過ごし勉強を教えてくれた 兄はあっけらかんとしているがとても頭がいい。 天然なのを除けば兄以上の男はいないと思うくらい完璧な人。 だからこそ自慢だった 「ねぇ、くーくん」 「ん?」 「仕事でこっち来たのに毎日僕のところにきて平気なの?」 「ことりが学校いってるときにちゃんとやるべきことやってるから問題ない」 「流石だね」 とにかく要領もいい兄は本当に支障なく過ごしているのだろう 「せっかく日本にいるのにことりと過ごせない方が仕事出来ないよ。 俺の癒し…はぁ…可愛い…」 「離れて…字が書けない」 「冷たいなぁ」 「ここ。教えて?念のためこの解き方でいいか確認したいから」 「いいよぉ」 兄の教え方は教師なんかより何倍も解りやすい。 翔琉より解りやすい…翔琉…もう早めに切ってくれないかな… 「どした?溜め息ついて。わからない?」 「違うよ。ごめん」 教科書とノートを取り上げられる 「こーとーりー!今日はおしまい。どうしたの?」 「…」 今日あった出来事を掻い摘んで話した 「人の情事の声聞いちゃって。それが知り合いだったから気まずくて」 「ははっ。そりゃきまずいな」 「でしょ?明日からどんな顔していいかわかんない」

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