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第53話

「そうだねぇ。ことりのためにはいいよね?俺も来月から向こう戻るし…」 「そ…だよね…」 帰って直ぐ兄に話す。兄がそういうとはわかってた 「この3ヶ月…長いかもしれない。でもね。ことり。これは人生で一度しかない3ヶ月。お前の学校はとてもいいとこ。姉妹校の方も向こうでは頗る評判はいい。将来を思うのでれば行くべきだ。恋人のことは戻ってからでも繋がれるでしょ?」 「…っない…繋がれない!僕には…後一年しかない…」 「は?どういうこと?」 「…何でもない…何でもないよ…」 「あのさ…酷かもしれないけど…」 「…」 「お前の人生は恋人がいなくても進んでいく。わかるでしょ?でもここでお前が恋人を選ぶとなるとチャンスを逃すことになるんだよ。この3ヶ月お前にとって必ず身になることだよ。恋人は…恋人はこれからの長い人生…また出来る。お前は今の人しか見えてないだけ。世界には何人の人がいると思ってるの?これから出会う人の方が断然多いんだよ…ことり…お前の人生だよ。恋人いなくたって進んでいくんだよ?」 「わかってるよ…わかってる…でも…好きで好きで堪らないんだ…一瞬でも離れたくないんだ…」 「…ことり…」 「ごめん…少し頭冷やしてくるね」 兄を置いてあの川原へ向かった 兄の言うことは最もだ… 夕焼けに染まった水面を見据え息を吐く。 「ことり」 ふいに呼ばれて振り返ると翔琉がいた

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