54 / 113
第54話
「翔琉…どうしたの?仕事は?」
「今日はもう終わり。なぁ…ことり…これから時間ある?」
「…うん…」
翔琉に導かれるまま翔琉の家に向かう
「ことり…」
翔琉は家に入ってから僕を離そうとしない
「翔琉?どうしたの?」
「留学の話し…受けろ」
「え…?」
「お前のためには大切なことだから…だから…」
「…離れても…平気なんだね…翔琉は…」
「…平気なわけないだろ…やだ…本当は行かせたくない…でも…お前の将来には…必要なことだとわかるから…だから…」
「…わかった…わかったよ…」
「ん…毎日連絡する…絶対する…だから…」
「わかったよ…行くよ…」
翔琉を見ると苦しそうに俯いていた
「翔琉…」
「俺も一緒に行きたいよ…3ヶ月も会えないなんて…寂しい…」
「たった3ヶ月でしょ。大袈裟だな。戻ってきたらまた沢山愛して?」
「ん…ことり…大好き…」
「僕もだよ」
嘘でもいい。翔琉が寂しいと言ってくれた…本当は行かせたくないって言ってくれた…嬉しかった…偽りでも嬉しかったんだ
たった3ヶ月…自らに言い聞かせるよう言葉を紡ぎ翔琉にキスを送る
そして旅立ちの時がきた
寂しすぎるから誰にも見送りはお願いしなかった。
一人飛行機に乗り込みこれからのこと…翔琉のこと…色んなことを思い巡らし目を閉じた。
翔琉は言った通り毎日連絡をくれた。約束を守ってくれた…
大勢の中の一人である僕に連絡をくれた…
愛されてる…そう感じられたんだ
ともだちにシェアしよう!