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第63話

「では…飲み物に薬をいれたのもその拘束も全て同意の上なんだな?」 「…っ」 バツが悪そうな顔をしたアレクが唇を噛んだ 「…どうなんだ」 「…」 「…すまない。ことり。愚息が…」 床に膝をつき額を擦り付けた。 …そう。土下座だ 「あの…」 「日本人は深く謝罪を表すためにこうするのだろ?」 「汚れます。お立ちください」 「しかし…」 「大丈夫ですから」 「ほら!合意の上じゃない!」 アレクが子供みたいな笑顔を向ける それをアレンが苦々しそうに見つめていた 「いや。さっきのお前たちの表情でよくわかった。ことりは逃れたいがため、苦しい思いをしないため無理矢理受け入れたことなんて容易くわかった」 「そんな!!ことり!!そんなことないでしょ?あるわけない!」 「アレク。いい加減にしろよ…」 唸るように低い声でアレンが言う これまで聞いたことのないほどの声に僕は硬直した。 「ことりを浴室へ。」 ドアの外に立っていた男に二人の父親が言う。 静かに頷き僕を運んでくれたその男は僕とそんなに体型の変わらない男だった。 「ことり!!待ってよ!!」 悲痛な叫びが聞こえる。

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