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第65話

いつの間にか意識を手放していた僕が次に目を開けたのは寮の部屋じゃなく見慣れない場所 体が震え出す…ここは…どこ…ベッドから飛び降りドアに向かった 早く…早く…ここから出ないと… もうすぐでドアに手がかかるところ 急に後ろから羽交い締めにされる 「やだ!!放して!!放して!!」 「ことり!ことり!落ち着いて。大丈夫だから!」 「いや!!翔琉!!助けて!!いやだ!!」 いるわけ無い人の名を呼ぶ。なんて滑稽なんだろう… 「ことり!こっちみて!ちゃんとこっちみて!」 「いや!いや!翔琉!」 もうあと半年と少ししか隣にいられない愛しい人の名前… 「翔琉…翔琉…ごめんなさい…ごめんなさい…」 壊れたように泣き喚く僕をその人は離さない 無理矢理その人の方へ顔を向けられたと思った途端その人が唇で僕のそれを塞ぐ あぁ…また僕は汚れてしまうんだ… その人の舌使いがとても翔琉と似ていて涙が溢れた。 翔琉…もう…僕は… 「ことり…ちゃんと俺を見て?」 「え…?か…翔琉…?何で?夢?何…僕は…」 「ことり。夢じゃないよ。」 翔琉がいつもするように耳朶を甘噛し首筋を撫でた 「翔琉…翔琉!」 「うん。会えるの来週なのに待てなかった。ごめんね」 「何で?何で?」 「交換留学が終了になるからその手続きに来たんだ。いつもはメールとファックスで済ませてるんだけど直接来させてもらっちゃった」 翔琉が悪戯っ子のように舌をペロリと出す 「翔琉…会いたかった…」 「俺も会いたかった…ことり…大好きだよ」 優しいキスが降ってきた。

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