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第88話
翔琉side
おかしい…ことりが何も連絡もなしに約束をすっぽかすとは思えない。
家の鍵は貰っていたのでそのまま入ったのだが帰ってきた気配がない
今日はバイトって言ってた。
バイト先に向かいことりのことを聞くと
「今頃恋人と仲良くやってるんじゃないかしら」
ふふふっ…と可愛らしく店長が笑う
「え?!あなたが恋人?!話には聞いて知ってたけど…どうして?今日ことりくんはバイト終えて楽しそうに帰っていったのに…どうして?」
店の誰に聞いてもわからない…何かあったんだ…
ことり…どこだ…
俺がこっちにいれるのは明日まで…とにかく探さなければ…
とはいえ誰も知り合いなんかもいない…でも…
近くの色んな店にことりの写真を見せ探す。
ことりはあの容姿なので見た人はみんな覚えてた。
ことりを見掛けたという店を辿りながらある小さな書店にたどり着いた
「あの…この人見ていませんか?」
「あぁ。あのカフェのことりちゃんね。夕方具合悪そうに男にもたれ掛かってたよ。話しかけて手伝おうと思ったんだけど自分が恋人だから大丈夫って爽やかに言われたからそのまま見送ったけど…」
「恋人?」
「あぁ、兄ちゃんみたいに背が高いイケメンだったよ。ことりちゃんに聞いてはいたけどとてもお似合いだったよ」
「…恋人は…俺です…」
「え?!そんな…じゃあ…あれは…」
「どっちに行きましたか?」
教えてもらった方向に進む。わからない…でも…
どうする…どうすればいい?
「もしもし。ゆり。俺」
『翔。どした?ことりちゃんには会えた?』
「ことりが誰かに連れ去られた。力を貸してくれ。こっちにもお前の関係者いただろ」
ゆりは大企業の御曹司だ。顔も広い…
『…わかった』
今いる場所とことりが最後に見られていた場所を告げこっちのゆりの知り合いを紹介してもらった。
華陵院 美景。世界に名の知れた大企業の息子。
彼は情報能力にたけているらしい。
「君が新庄くん?初めまして。美景です。ゆりちゃんから聞いてるよ。この辺りで人を連れ込めるところは実は限られてるんだ。この辺り一帯はうちが管理してるから。でも住居になると…時間がかかるかも知れない…」
「探してください!ことりはきっと今頃…」
想像したくない…酷い目にあってることりなんて…
「わかった。任せて」
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