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失った光(6)

「ありがとう……だけどね、自分の無力さに呆れてしまうよ。清人さんを殺したのは君じゃない。私だ。あの時……清人さんが君の身代わりになるという提案を呑まなければ、こうはならなかった。あのままでは君が命を落としてしまうと判断してしまったのが悪かったんだ」 『身代わり』  ――ああ、やっぱり僕が父さんを殺したんだ……。  倉橋さんの言葉で、僕は自分の罪を理解した。だけど倉橋さんは悪くない。  悪いのは僕。 「いいえ、いいえ!! それは違います!! 倉橋さんは、一生懸命僕を助けようとしてくださいました。だから……そんなにご自分を責めないでください」  僕は首を横に振って、それは違うと倉橋さんに話した。 「比良君……ありがとう。ここで慰めなければならないのは私の方だというのにね、申し訳ないよ」  倉橋さんはそう言うとまた微笑み、口を閉ざした。倉橋さんと僕の間に流れる沈黙を塞ぐかのように今も降り続ける雨が、葉っぱに当たる渇いた音が耳に届く。  父さんを失ったという悲しみで言葉が喉につっかえる。何も言えずにいると、倉橋さんは沈黙を破り、ふたたび話しはじめた。 「君はこれからどうするんだい? 私が言うのも酷な話だが、君はこの村の人間に邪険に扱われているだろう? 普通の人間にとって、君は異質な存在だからね。君さえよければ、私と一緒に来ないかい? 私と一緒だと、おそらくはたいていの奴らは君を襲ってはこないだろうし……」 「………………」  そうかもしれない。味方がまったくいない僕にとって、倉橋さんという存在は、とても心強い。

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