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幻実。(3)
僕はこの小さな村で唯一同い年の美紗緒さんと一緒に夜を過ごすのがすごく嬉しかったのを、今でもよく覚えている。
――誰もが寝静まった静かな夜。
突然、苦しそうな奏美さんの声と、泣きじゃくる美紗緒さんの声が聞こえたかと思ったら、誰かに突き飛ばされ、目を覚ました。身体が痛みを訴える中、ゆっくり起き上がると、奏美さんは首を押さえて苦しそうに咳き込んでいる。
何が起こったのかと、激怒している和夫さんから視線を外したそこで、僕の体質が明らかになったんだ。
自分の身体を見下ろした瞬間、僕の心臓は鼓動を止めたかのように締めつけられ、血の気が引いていくのがわかった。
僕が見たものそれは――僕の腕が、誰かに握られたみたいに、手の痕が赤い痣になって、くっきりとついていたんだ。
だけど痕はそれだけじゃない。ふくらはぎや太腿 も同じようについていた。
和夫さんは、僕が奏美さんの首を絞めたこと。そして僕が鮮血にまみれた、二十代くらいの女性に見えたことを脅えた口調で話した。
その後の沈黙は幼い僕にとって、すごく怖いものだった。僕が眠っていた間に、僕が大切にしている人を苦しめる。
そして知らないうちに身体に痣ができているこれはいったいどういうことなんだろう。どうして僕が奏美さんを襲ったのかもわからないし、身体が赤い痣だらけになっている理由もわからない。当然、これから僕はどうなるのかもわからない。
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