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運命の糸。(4)

「ちょっと、だらしないわね。そんなだから、いつまでたっても先生に怒られるのよ? ちょっとは真面目に授業受けな?」 『おにいちゃんも、がっこういきたかったの?』  仲の良いふたりの姿を見つめていると、女の子がそう言った。  ……行きたかった。みんなと同じように学校に行って、勉強をしたかった。  でも、この厄介な体質では授業どころじゃない。だから僕はひとり家に(こも)り、父さんに勉強を教えてもらっていた……。  ――ああ、だけど父さんはいない。ひとりぼっちになってしまった。 『ねぇ、だいじょうぶだよ。わたしといっしょにいけば、ひとりじゃなくなるよ? ほら、いこう?』  ――ひとりではなくなる。  今の僕にはその言葉がとても魅力的だった。  僕はとても弱い人間だ。一度、人のぬくもりを感じてしまうと、ひとりぼっちになりたくないって思ってしまうんだ。 『こっち、こっちだよ』  僕は女の子に導かれるがまま、再び歩き始める。  気が付けば、生い茂った草と砂利道しか見えなかった視界が少しずつひらけてきた。やがて緑色の草は消え、赤茶色の土がむき出しにななった地面。  その一寸先は……崖だ。 『こっちだよ、こっち……』  女の子は、僕が歩いている反対側の崖の上に立ち、手招きをする。 『こっち、はやく』 (あの子のところへ行かなきゃ)  僕が死ねば魂は汚れ、強力な力を持った霊体はこの世界を恐怖に変えるだろう。だからけっして自ら死を選んではいけない。  少し前まではそう思っていた。だけど、今はどうでもいいと思っている。

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