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紅さんとドキドキバスタイム(7)
とっさに紅さんの背中にまわした手をのけて身体を隠そうとしたけれど、もう遅い。僕の貧相な身体から、タオルが取り除かれる。紅さんの目の前で肌を晒してしまった。
……恥ずかしい。
そう思ったのは……ご飯もろくに食べていない、枯れ木のような骨ばかりの身体を見せてしまったからだ。
それなのに、紅さんは僕の身体を見て優しく微笑んできた。
「比良の肌は、絹のように滑(なめ)らかだね。さあ、身体も洗ってしまおう」
紅さんは僕の貧相な身体を褒めてから、ボディーソープを手につけて、僕の背中に這(は)わせた。
「ひゃっ!!」
ビクンと跳ねてしまう身体に、紅さんはまたひとつ微笑むと、そのまま手を、前へと向かわせる。
紅さんはただ、身体を洗っているだけ。そう思うのに、どうしてだろう。
なんか僕の身体がおかしい。
紅さんから匂う薔薇の香りが僕の頭をボーっとさせてくる。
「ふぅ……っん」
紅さんの片方の手が僕の胸から両脇を通って下へと進む。
お腹、みぞおち、その先は――。
「やっ、ダメっ!! そこはいいですっ!!」
下半身へと向かって進む手を止めようと、身体を捩(よじ)る。だけど、もう遅くて……紅さんの手の中に、すっぽりと僕自身が包まれてしまった。
「やぁ……だめ……汚いっ!!」
僕は必死に紅さんの手を遠ざけようとするのに、紅さんは、そんなことはお構いなしに、僕自身に触れて……包み込んだ。
「やぁっ」
「汚くはない。比良のここ、小さくてかわいいよ」
「やっ、やっ、だめ……」
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