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戸惑い。(10)

 罪悪感に捕らわれ、謝り続ける。  すると突然、僕の息が詰まった。  そうなったのは、紅さんが僕を抱きしめてきたから――。  でも、ダメ。  僕は汚い。  僕は人を不幸にする。 「やっ、ダメ。離して、汚いからっ!!」  僕は必死になって、紅さんの胸板を押す。  だけど、全然ビクともしない。  紅さんはとても華やかで、身体のラインもすらっとしているのに、実はとても力が強いんだ。 「比良?」  お願い、離して……。  僕は何度も首を横に振る。  その度に、目尻から溢れた涙が散っていく……。  僕のすべてが汚い。 (僕を抱きしめてくれている紅さんが汚れちゃう!) 「比良!!」 「やっ、離して!! いやっ!!」  もう自分が何をしているのかさえもわからない。  僕はただ涙を流し、優しくしてくれる紅さんのすべてを拒絶する。  何度も、何度も――。  紅さんを拒むため、首を振り続けていると……。 「ん……っふ」  急に息苦しくなったんだ。  僕の口が、何かに塞がれてしまった。 (……なに……?)  目を開けると……。  そこには紅さんの顔がずっと間近にあったんだ。 「!! っんぅ……」  びっくりして口を開けると、口内に湿った何かが入り込んできた。  それが紅さんの舌だって理解するのに、大分時間がかかってしまった。  その間にも紅さんの舌は僕の口内を這いまわっている。 「ん……ふぁ……」  な、に?  なんで?  どうして、こうなっているの?  そう思っても、頭の中がグルグル回る。  何も考えられなくなる。 「っふ……んぅっ……」

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