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ふたりの訪問者。(3)
僕は不思議に思いながら、男の人の青い鞄から紅さんの顔へと移すと、コクリと頷かれた。
「ここではなんだから、ふたりとも上がって。今ね、比良と一緒にホットケーキを焼いていたところなんだよ」
紅さんはどこか誇らしげにそう言うと、男の人と男の子をリビングへ案内する。
僕も紅さんの後に続いた。
リビングに着いた僕と紅さんは男の人と男の子をソファーに腰掛けてもらうよう、声をかけた。
その間に僕は冷蔵庫から冷えている麦茶が入った容器を取り出し、食器棚からグラスをよっつ取り出してお茶を注ぐ。おぼんに乗せて、3人がいるテーブルへと運んだ。
その後、僕と紅さんはボールの中にある残りのタネでホットケーキの続きを焼く。
「あの、お口に合うかはわかりませんが、よかったら、どうぞ」
出来上がったホットケーキをテーブルに乗せ、そっと手を差し伸べると見る見るうちに男の子の目の色が変わっていく……。
「うわ~、うまそっ!!」
僕と紅さんが作ったホットケーキはキツネ色で、周りにはこんがりといい具合に焼けた茶色い縁が円を描いている。
男の子は光り輝く大きな目にそれを写し、手を擦り合わせて舌なめずりをする。その仕草がとても可愛い。
「……ふふ」
男の子の仕草があまりにも可愛いからついつい微笑んでしまう。
「そうだろう? 比良は料理の天才なんだ」
紅さんは男の子の発言に同意すると、両際にあるナイフとフォークを手にした男の子の紹介をしてくれる。
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