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ふたりの訪問者。(5)

「あ、よろしくお願いします」  鏡さんから自己紹介を受けて、ペコリとお辞儀をした僕の脳裏にある考えが過ぎる。  ――あ。  もしかして紅さんの言っていた、『僕の面倒を見てもらう知り合い』って古都くんと鏡さんなのかな?  確認のため、隣に座っている紅さんを見上げると、紅さんはひとつ微笑んで、僕が思っていることを理解したかのようにゆっくりと頷いた。 「比良、わたしがいない間は彼らに頼むといい」  やっぱり……。  やっぱりそうなんだ。  どんな人が僕のことを見てくれるのか少し不安だったから、鏡さんと古都くんだと知って少し気が楽になった。  だってこの人たち、とても優しそう。  僕と仲良く……してくれるかな?  同じくらいの年齢の友達なんて今までできたためしがなかったから淡い期待を寄せてしまう。  父さんのお孫さんの美紗緒(みさお)ちゃんは、僕と同い年だったけれど、やっぱり僕の体質で結局友達にはなれなかった……。  でも……やっぱり、ダメかもしれない。  僕みたいな汚い化け物。  紅さんの大切な弟さんとは友達になってはいけないんだ。  迷惑をかけるだけだ……。  僕は悲しい気持ちになってしまって、膝の上に置いている両手が白い着物をぎゅっと掴んだ。  視線も知らない間に膝へと向いてしまう。  その時だった。  僕の頬にあたたかい空気がそっと触れた。 「だけどね比良、お風呂は勝手に入らないでね。ふたりがいなくなった後、朝にゆっくり入ろうね」  耳の中に流れ込む空気と一緒に、そっと告げられる穏やかな声……。 「……っ!!」

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