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気づいた恋心。(1)

 その日から、朝方から日中にかけては(くれない)さんと。夜19時くらいから深夜3時くらいにかけては古都(こと)くんと(かがみ)さんが僕の傍にいてくれるようになった。  なんでも鏡さんは動物病院のお医者さんで古都くんは助手さんをしているらしい。だからこの時間帯にしか来れなくてごめんねって、謝ってくれた。  でも謝ってもらうなんてそんなのこっちが謝らなきゃいけないくらいだ。だって僕はふたりにお世話になっているんだから……。  たかが僕のためにそこまでしてもらったままだなんて、申し訳ない。だから僕はふたりのためにありがとうの気持ちを込めて夕ご飯を作り、そして帰って来た紅さんとお仕事に行く鏡さん古都くんに朝ごはんを作るのが僕の日課になった。  僕と年齢が近い古都くんとはとても仲良くなったと思う。僕がご飯を作っている時は手伝ってくれたりして、その日あった他愛もない出来事を僕に話して聞かせてくれる。  彼らと一緒にいて知ったのは、古都くんはお風呂上りのアイスクリームがとても好きらしいということだ。鏡さんに少し離れたスーパーに車を走らせるよう強請(ねだ)っている姿を何度か見た。  普段、とても活発な古都くんだけど、ふとした瞬間に鏡さんに甘える姿がとても可愛い。  僕も紅さんにたくさん甘えたいって思う。  ――でも赤の他人にそんなことはできない。だけどね、それが唯一できる時間があるんだ。  それは紅さんとお風呂に入る時。その時に限っては紅さんに抱きついていられるんだ。  紅さんとのお風呂は鏡さんと古都くんが帰った後。

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