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気づいた恋心。(5)

 紅さんはけっして僕を抱かない。抱くはずがない。それなのに、僕が求めているんだ。  紅さんに、『愛してる』って言われたいんだ。  僕……は……紅さんが……好き……。  ズボンの中で膨れた一物をそっと両手で包み込めば、腰がビクンと跳ねた。 「ん……くれないさ……んっ……っふ」  いつもお風呂場でされている紅さんの手の動きを真似て、扱き上げる。  すると一物はどんどん硬くなっていく……。  先端から先走りが流れはじめていた。  下着の中に手を忍ばせて直接触れてみると、一物がとても熱くなっていた。 「ぁ……ぁ……」  目の前で火花が散る。  脳裏に浮かぶのは、紅さんの優しい笑顔。 「っん、くれないさん……」  根元から先端に向けて何度も扱く。ヌチャヌチャと濡れた音がまた僕を掻きたてていくんだ……。 「っふ、あっ、ああ……」  いったいどれくらい扱き続けていただろう。僕の中で何かが弾けた。同時に精が勢いよく解き放たれる。  パジャマはびしょびしょ。  だけどそれに構っていられるほど、冷静じゃない。 「ぁ……っは……んっ。くれないさん……」  しばらくの間、心地いい解放感に酔いしれていると次第に身体から熱が引いていく……。  ひんやりとした夜気が、僕の意識を覚醒させた。 「……っつ!!」  ……なんて……。  なんてことをしてしまったんだろう。  僕は……紅さんを使って淫らな行為をしてしまった。  そう実感すると解放感は消え失せ、罪悪感と嫌悪感が襲ってくる。  僕はやっぱり汚くて、醜くい奴なんだ……。

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