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さようなら。(4)
夜道を照らす街灯は、チカチカと点滅を繰り返している。
とても気味が悪い。
夏の夜ならよくある、無風のジットリとした空気がまた気持ち悪さに拍車をかけている。
こうして立っているだけでも無数の霊体たちが蠢 いているような、そんな気さえする。
僕は上がる息を整えるため、小さな公園の中に入りブランコに腰掛けた。
……本当は、こんなところで休んでいたくはない。
だけど、長時間走りすぎた足はズキズキ痛むし、心臓は張り裂けそうなくらい鼓動を繰り返している。
汗は、こめかみから顎のラインを通って一粒が膝上に落ちた……。
口内の唾液ももうなくて喉もカラカラだ。
……これから、どうしよう。
途方もない孤独という闇が僕をまた襲う。
物音ひとつしない静かな公園でひとりきり。
ぶるりと背筋が震える。
紅さんと離れたのはついさっき。
それなのに、もう、紅さんと会いたいって思ってしまう。
(――ダメだ)
そんなこと、考えちゃダメ。
これ以上紅さんを頼っちゃいけない。
頭を、ブンブン振って思い浮かんだ優しい笑顔を打ち消す。
その時だった。
誰かの足音が、近づいてくるのを聞いた。
(――誰?)
俯けていた顔を上げれば……。
「彼女、かわいいね~。ひとり?」
笑い声が上から降ってきた。
そこには、長身の男の人が3人立っていた。
顔は薄暗くってよく見えない。
だけど、3人とも背は僕より大分高い。
なんか……怖い。
僕は、その場から立ち去ろうと無言でブランコから腰を上げる。
そうしたら、突然僕の右腕がひとりの男の人に掴まれた。
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