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さようなら。(5)
「おっと、逃げるなよ。何も怖いことはしないって……」
そう言うけれど、男の人の声はずっと低くて怖い。
「やっ!!」
(離して!!)
腕に力を入れるけれど、男の人の掴む力が強くて腕が抜けない。
それどころか、さっきよりも少しずつ力が強くなっていっている。
骨が折れちゃうんじゃないかっていうくらい、僕の腕が、ギシギシと悲鳴を上げる。
「いやっ、離してっ!!」
怖くなって、身を捩 って抵抗していると、左腕さえも掴まれてしまった。
「いい反応。な、どうする?」
ケタケタと、下卑 た笑い声を上げる男の人は他の男の人たちに尋ねると、彼らは相槌 を打った。
「決まってるじゃん。ヤっちまおうぜ」
「だよな~」
「んじゃ、そういうことで……」
(――えっ?)
僕の腕を掴んでいる男の人の提案に、それぞれが同意すると掴まれた両腕が背中に固定された。
僕の身体が一瞬、宙に浮き、すぐに砂地へと抑えつけられた。
な……に?
とても怖くて、拒絶する声さえも出せないままいると、また別の男の人がしゃがみ込み、僕を見下ろしてきた。
「ソソる君が悪いんだよ?」
あまりの恐怖で硬くなる僕の身体。
服の下から、手が伸びてきた。
「っつ!!」
紅さんの手の感触に慣れた僕の身体が、ビクンと跳ねる。
「おっ、いい反応」
服の下から侵入してきた手が、僕の身体を撫で上げながら這い上がっていく。
「おい、こいつ男じゃん!」
僕の胸を撫でた男の人はそう言うと、僕の顔をマジマジと見つめた。
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