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さようなら。(6)
「マジかよ!?」
男の人の言葉に、その場にいる男の人全員が驚いた。
……よかった。
僕を女の子だと思い込んでいたみたい。
これで逃れられる。
解放される。
ほっとして、張りつめていた息をそっと吐く。
だけど僕の考えは甘かったんだ。
「女だとか男だとか関係ないって……要は、楽しめるかどうか……だろう?」
(――えっ?)
男の人は何を言ったの?
金槌 で頭を叩かれたみたいに、強い衝撃が僕を襲う。
僕の身体が、固まった。
「女じゃないんだったらさ、もう少し乱暴に扱っても問題ねぇだろう」
その声とほぼ同時に、服が裂ける音を聞いた。
……怖い。
イヤだ。
何をされるのかはわからないけれど、とても怖い。
「いや、いや……。離して……」
なんとかして逃れようと、手を動かすけれど、男の人の手によって後ろ手に縛られている僕の両手はびくともしない。
それでもなんとかここから這い出ようと、必死になって両足を動かす。だけど、状況は悪くなる一方だ。
「逃げる気満々だぜ、コイツ」
「だったらさ、逃げられないよう、全部、脱がせちまおうぜ」
「っつ!!」
な……に?
男の人の言葉に、他のふたりも同意する。
季節は夏だっていうのに、僕の身体が凍えていく……。
「やっ、いや……やだっ」
紅さん。
紅さん!!
助けて!!
助けを求める僕の耳に、布が引き裂かれる音が聞こえる。
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