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さようなら。(10)

「……っひ、っふぇ……」  ……悲しい。  紅さんじゃないのに、こうやって感じてしまう自分がとても……醜い。 「おいおい、お前らだけで(たの)しむなっての……」  胸を弄られ、熱を持ちはじめた膨らんだ下半身に、生温かい息が触れた。 「小せぇ……けど……たまんねぇ……これ……」  ひと言、そう言われた後は一物はすっぽりと掴まれた。 「っ、ひっ!!」  同時に、ビクンと脈打つ……。  クネクネと、一物を揉み扱いてくる。  そのたびに、僕の腰はビクン、ビクンと跳ねる。  腕は拘束されていて身動きさえできないのに、腰が大きく揺れる。  心臓は今までずっと走っていたかのように、バクバクと激しく鼓動している。 「ぁ……あ……やっ……」  外に向かって熱い(ほとばし)りが流れそうになっているのがわかる。 (――ダメ)  これに身を(ゆだ)ねたら、僕はますます自分が嫌いになってしまう。  快楽に押しやられそうな自分を止めるため、縛られている手首に力を入れる。  ギリギリと、鈍い痛みが全身に広がる。  きっと自分の手首は血が止まり、白くなっているだろう。 「ああ……我慢してる姿も、すげぇソソられる……」  うっとりと猫なで声で言われても気持ち悪いとしか思えない。  それなのに、身体は……僕の一物は痛いくらい、ピンと張りつめている。 「すっげぇ、俺たち、こんな上玉を抱けるんだな……」  僕の胸を舐めていたひとりの男の人が、満足そうにそう口にした時だった。  僕の背中に、寒気が走った。

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