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さようなら。(13)
僕の一物をなぞるように舌を動かし、後ろにある穴へと這わせていく……。
そこは紅さんがいつも綺麗に洗ってくれた箇所。
唯一、紅さんと一緒になれる場所――。
そこに、長い舌が入って来た。
「は……いやぁぁぁあああ!!」
いやだ。
そこはイヤ。
だって、そこは…………好きな人としか……イヤだ。
紅さんじゃなきゃイヤだ!
首を何度も振って、拒絶する。
それなのに、舌は引込むどころか、最奥を目指し、進む。
「イヤ。やっ!!」
長い舌が中へと侵入し、圧迫感が僕を襲う。
「っひ、っあっ!!」
女の子みたいに扱われる羞恥心と、その行為を拒絶する心がない交ぜになって、喉の奥から嗚咽 が出る。
「ふ……っ」
紅さん……紅さん……。
目の裏に浮かぶのは、いつだって僕を受け入れてくれた、優しく微笑む貴方……。
「あっ!!」
ひとり、静かに涙していると、僕の腰が霊体によって固定された。それと一緒に、勃起した大きい男の人の一物も見える。
アレで、僕の身体を貫くんだ。
そして……僕の魂も、奪われるんだ……。
霊体に乗っ取られたこの人に…………。
僕の全部を奪われるんだ……。
「っふ……」
硬く、目をつむる。
……ぽとり。
涙がひと筋、耳へと向かって流れ落ちた。
堪えきれない悲しみと苦しみが僕の心を占領する。
「っく……ぅ」
ヒタ……。
熱いモノが、孔に当たる。
中に……挿入 れられるんだ……。
「……っ……」
貫かれるのを覚悟して、歯を食いしばる。
その時だった。
「そこで何をしている!?」
声が、聞こえた。
とても優しくて、
とてもあたたかで、
僕が大好きな……。
中性的な、その人の声。
そんなわけないのに、あの男性 の声が……聞こえたような気がしたんだ。
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