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薔薇の香りに導かれ……。(13)

 この感覚を何とかしようと、つま先を立たてて身体をしならせる。それでも熱い感覚を取り除くことはできなくって――。 「あっ、あっ、薔薇の匂いが……は、あっ!!」  足のつま先がシーツが破れるんじゃないかっていうくらい、引っ張っていく。 「くれないさ、ん……」 「比良……わたしの香りがわかるんだね。とても嬉しいよ」 「ん……やぁぁっ」  紅さんが、僕の喉元に噛みついた。  舐められ、吸われて……。  たったそれだけで、僕の身体はさっきよりも熱くなっていく……。  紅さんがもたらす新たな刺激によって、僕の身体がまた大きく反れる。 「くれないさっ、くれないさっ!!」  何かにしがみ付いていないと、この大海原に溺れてしまいそうだ。  僕は紅さんへと両手を伸ばした。 「比良、とても美しいよ」  紅さんが、僕の伸ばした両手を掬い取ってくれた。  たったそれだけなのに嬉しくて――。  僕は紅さんの両手をしっかり握り、やってくる、じくじくした熱いモノをなんとかしようと、腰を揺らす。 「ん……っふ……」 「ああ、美しい比良。もっとわたしの下で踊って……乱れて……」  今、自分がどういうふうに暴れているのかはわからない。  だけど今は、そんなの……どうでもいい。 「服、服、脱いで……」  紅さんの素肌に抱きつきたい。  言った途端、両手から力強い手の感触が消えた。  同時に衣擦れの音が耳を刺激する。  のけ反らせていた頭を少し傾けて、紅さんの方へ向けると、象牙色のほどよく筋肉がついた健康的な紅さんの肌があった。

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