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薔薇の香りに導かれ……。(2)
恥ずかしい。
顔から火が出るんじゃないかっていうくらい、恥ずかしい。
生々しい水音を僕が生み出しているのだと思えば身体中がかあって熱くなる。
それなのに僕の手は彼の広い肩を突き放すことなんてできない。
僕の舌と、彼の舌が絡み合う光景が視界に入る。
そんな僕の思いも知らないその人は、さらに僕を攻める。
彼の唇が僕の舌をすっぽりと包んだ。
そのまま口を窄 められ、強く吸われてしまう。
「ふあぁ……」
おかげで喘ぐ声はさらに大きくなってしまう。
歯を当てられ、戒 められる僕の舌から全身に向かって、甘い疼きが押し寄せてくる。
甘い疼きはやがて、大きなうねりになって身体の中心を刺激する。
刺激された僕の一物は徐々に膨れ上がり、熱を持ちはじめている。
さっき、数人の男の人に襲われた時でさえ、こんなに疼かなかった……。
それなのに、僕は今、キスだけでこうなってしまっている。
それはきっと、好きな人によるものだからだ。
紅 さん……。
どうして?
どうして、こんなキスをするの?
僕は今から、貴方に殺されるっていうのに……。
「……っつ!!」
ああ、そう……そうだ。
どうして今まで忘れてしまっていたんだろう。
紅さんはただ僕の魂が欲しいだけなのに……。
僕は愚 かにもまた同じ間違いをするところだった。
この口づけが、古都 くんと鏡 さんみたいに二人の行為と同じものだなんて……。
そんなこと有りはしないのに……。
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