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薔薇の香りに導かれ……。(5)

「ん…………ふぁああ……」  僕を包む紅さんの手が円を描き、いやらしい先走りが滴り落ちていくのがわかる。  握られる手の刺激に、ぬめりを帯びた一物がくちゃくちゃと音を立てている。  ここから抜け出したいってそう思うのに、身体からは熱い体温と快楽に侵されていく。  身体は脱力感でいっぱいだ。 「ふ……」  紅さんにもたらされる快楽によって、僕の身体は抗う力さえも失ってしまった。 「比良、わたしも君を愛しているよ」  僕が抵抗する力を失い、大人しくなったと判断した紅さんは唇を離して、そっと告げた……。  な……に!?  紅さんは、なにをいっているの? 『愛している』  紅さんは……そう言ったの?  ――違う。  そんなことない。  紅さんは僕の魂が欲しいだけ……ただ、それだけだ。 「違う……もう嘘は言わなくてもいい。紅さんが何ものなのかも知ったんだ。魂が欲しいならあげる。だからお願い……もう僕を解放して……」  もう、酷いことは言わないで……。  僕を、殺して……。 「……っひ、っひ……」  涙を止めようと瞬きをすれば逆に、涙が目尻を伝い、耳に向かって流れ落ちる。 「も。いやだ……」  両手で顔を覆い、泣きじゃくる。 「……っひ、ふぇっ……」  嗚咽(おえつ)が止まらない。  拳をつくった両手で目を覆い、みっともなく泣きじゃくる。 「比良……比良……ああ、どう言えば君は理解してくれるだろう」 「――っつ!」  紅さんが言ったすぐ後、泣き続ける僕の身体が力強い腕に包まれた。

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