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薔薇の香りに導かれ……。(9)

「っひ、あっ!」  びくんっ!  僕の身体がまた跳ねた。  だけど、唇はさらに下へと落ちていく……。 「この美しい苺のようなふっくらとした蕾は摘み取ってしまいたくなる」  まるで、本当に苺があるみたいにして僕の胸についている突起を、口に運ばれてしまった。  もうひとつの突起は、紅さんの長い指に摘ままれる。 「ぁ……や、だめっ……やぁんっ」  片方の胸の突起をくりくりと指で弄られ、もう片方を唇で吸われると、もう身体が跳ねるのは止まらない。 「あっ……あっ、くれないさっ……」  僕は、押し寄せてくる甘い疼きに負けた。  顔は上を向き、のけ反ってしまう。  中心にある一物はすっかり身をもたげ、紅さんの刺激に堪えきれずにビクビク震えている。  きっと先端からは先走りが溢れ、次から次へと流れ続けているだろう。 「君がわたしの名を呼ぶたび、どんなに君を欲するか、君は知らないだろう?」 「な……まえ……?」 「そう、名前……」  紅さんは、僕のオウム返しに微笑むと、摘まんでいた方の胸の突起も、唇に吸われた。 「あっ、はぁ……」  そしてまた、甘噛みされて、歯列の間から、舌で舐められる。 「ひゃんっ!!」  飴を舐めるみたいにぺちゃぺちゃという音が聞こえるたび、また僕の一物が大きく膨れていく……。 「この……雨の香りが容易くわたしを惑わす。この香りこそ、我が妻の証……」  妻……。  また、そう言った。 「比良、わたしは君の(とりこ)だ……」 「っあ、んっ!!」  胸から唇が離れたと思ったら、唇はずっと下へと落ちていく……。  肌を甘噛みされるたび、僕の身体は小刻みに震え、そのたびに膨れ上がった自身からは我慢できなくなった先走りが勢いよく流れる。

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