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薔薇の香りに導かれ……。(10)

 紅さんは僕のおへそを舌でひとなぞりすると、一物がある太腿の間に顔を埋めた。 「っや、そこダメ!! 汚いっ!!」  腕を伸ばし、なんとか紅さんの顔をそこから遠ざけようとすると……。  だけど僕の手は、ひとつの腕に難なく捕まり、身動きを封じられた。 「なぜいけないのだろう? なぜ、比良の可愛らしい欲望を霊体が舐めることができるのに、比良の夫となるわたしには、美しい蜜を放つ欲望を愛してはならない?」  ……えっ?  なに? 「わたしの花嫁……誰にも、渡さない……」  紅さんの声は、いつになく低いものだった。  びっくりしていると……。 「んっ!! やぁ、だめっ、だめっ!! 汚いのにっ!!」  一物が紅さんの口内に含まれた。  ねっとりとした生温かい中で、僕がビクンと脈打つ。  だめ……だめ……。  先走りを、紅さんの口内に出さないよう、必死に首を振ってもたらされる快楽から遠ざけようとする。  それなのに、紅さんは口を窄めたり、舌でなぞったりをしてくる。  どうしよう。  そんなに攻められたら、先走りじゃなくて、もっと濃いものが出てしまう。 「や、お願い、やめてっ……もう、出ちゃうからぁっ!!」  何回も首を大きく振って、抵抗しているのに、紅さんは無言で僕自身を攻め続ける。 「っふ、ふあぁぁ……」  僕が首を振るたび、目尻に溜まっていく快楽の涙が散っていく……。  僕を攻めたてる唇は、それでも僕の意見をまるで無視して、すっぽりと包み込む。

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