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薔薇の香りに導かれ……。(11)
「……っは」
紅さんの喉頭まで押しやられ、
まるでストローで飲み物を飲むようにして、紅さんは一物を吸い上げた。
「っふ!! やっ、だめ、だめっ、吸っちゃ」
もうダメ。
出る。
「出るっ、出るからっ、おねがっ、離しっ!」
腰が浮く。
「や、あああっ!!」
溜まっていたすべてを、外へと放ってしまった。
「あっ……っは……」
残ったのは、甘い脱力感と、言いようもないくらいの充実感。
あと……ごくりと飲み込む、水の音。
それは、紅さんが僕の放った白濁を飲んだっていう証拠だ。
紅さんが僕のものを飲み込んだ音を聞いた瞬間、僕の中にあった充実感は消え去り、すれ違うようにやってきたのは、堪えがたい羞恥だ。
涙は目尻を通って、ぽろり……ぽろりと零れ落ちる。
「やっ……なんで……。どうして……っひぅ……」
ベッドに項垂れ僕はただ、綺麗な紅さんの口内に吐き出した白濁を飲ませてしまったという罪悪感に悶え苦しむ。
醜い自分が紅さんの目に写らないようにと両手で顔を隠せばすぐに、顔を覆っている手を掴まれる。
僕は醜い。
何よりも、誰よりも……。
きっと、僕を襲う霊体たちよりも……ずっと醜いんだ。
綺麗な紅さんに汚い白濁を飲ませて……それを気持ちがいいと思ってしまうなんて!!
「みないで……おねがい……ぼく、きたないからっ、よごれてるからっ!!」
口にすると、涙は次から次へと流れていく……。
口から漏れる嗚咽さえも、汚く聞こえてくる。
「比良……わたしの愛おしい花嫁。達した君はとても美しい……。泣かないで……愛おしい妻」
僕の両目尻に溜まった涙を、紅さんの唇が吸い取ってくれる。
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