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薔薇の香りに導かれ……。(15)

 我慢できなくって、催促するみたいに僕の膨れた僕自身を紅さんの身体に擦りつけた。 「比良……」 「はふっ、はふ……」  僕の舌、僕の口の中にあるのかな。それとも紅さんの口の中なのかな、もうどっちのものかわからない。僕から紅さんの舌を追いかけて絡める。そうしたら、紅さんに擦りつける僕自身がいっそう硬くなった。  僕の欲望を擦りつける紅さんの下腹部の、しっとり濡れた肌が冷たくって気持ちがいい。  だけど、足りない。  刺激が欲しい。  もっと、強い刺激がいい。  でも、さっきみたいにただ僕をお口に含まれるんじゃなくって、もっと……もっと強い刺激が欲しい……。 「くれないさ……ぼく、ぼく……」  唇を紅さんから離すと、白い糸が繋いでいく。  まるで、僕と紅さんと繋がる運命の糸のようでなんだかとても嬉しかった。 「気持ちが悦いんだね……。君の先端から蜜が流れているよ。とても美しい……」  先走りは汚いものなのに、紅さんがそう言うから、自分のことを少しは綺麗なのかもしれないって思ってしまう。  催眠術にかかちゃった気分だ。 「くれ……ないさ……」  ずっと口づけていたからうまく呂律(ろれつ)がまわらない。 「美しいよ、比良」  紅さんはひとつ微笑んでから頷(うなず)いた。 「おかげでわたし自身が今、恐ろしいことになっている」  僕で? 紅さんが興奮するの?  嘘だ。有り得ない。だって僕は汚い奴だ。  紅さんを刺激できるはずがない。

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