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誘惑なんてしてないですっ! (3)
「……っつ!!」
恥ずかしい。
紅さんに抱かれた時のことを思い出せば、僕の顔が熱くなる。
射抜くように見つめてくる赤茶色の目から視線を逸 らし、顔を俯 ける。
そうすると、自分の見窄 らしい身体が目に入った。
身体には、数十か所以上にもわたる真っ赤な痕が散らばっている。
おかげで、紅さんとの行為が鮮明に蘇る。
自ら身体をひらき、
抱いてほしいとお願いして、
腰を振って、
紅さんを受け入れた……。
たくさん突かれて、
お腹の中に、白濁が注がれた。
それを考えた途端、僕のみぞおちがまた、熱をもつ。
僕自身が、反り上がりはじめる。
……ダメ。
裸のままのこの状態じゃ紅さんに丸見えだ。
僕がおかしなことを考えているって丸わかりじゃないか……。
「やっ……」
反り上がりはじめている自身と、赤い斑点のついた身体を見られないよう、紅さんの首に巻き付けていた両手を身体にまわす。
うまく隠せるようにと、そう祈って……。
だけど……。
「今さらだよ、わたしの美しい比良」
「ん、ふぁ……」
紅さんの甘い声が耳孔 に触れる。
そうしたら、またおかしな声を上げてしまうんだ。
たしかに、ね。
昨日は紅さんにはたくさん裸を見られた。
身体を隠すことだって今さらだって思う。
だけど……。
でもね?
服を着ている紅さんに言われたくはないよ。
しかも僕は、ほっそりした骨に皮が貼りついただけの見窄らしい身体をしている。
それに太腿の間には、また熱を持ちはじめた僕自身がある。
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