188 / 253

誘惑なんてしてないですっ! (9)

「やっ、やだっ! ああっ!」  口では拒絶していても、紅さんの肩にしっかり腕を巻きつけて喘ぐ僕はとても卑しい。  恥ずかしいのに、もっと触れてほしいと思うなんて、どうかしている。  紅さんに惑わされていると、お尻にあった片方の手が外された。 「……っは、う?」  なに?  だって、紅さんの液は残ったままだ。  だからこの責めはまだ続くんだろうって思った。  それなのに、紅さんの手はひとつ離れてしまった。  だけど片方の手の指は僕の中に入ったままだ。  中を擦るようにして、ずっと奥へ進んでいく……。 「ん……あっ、あっ」  さっきよりも指は少なくなったとはいえ、刺激は十分にある。  声を漏らしながら、でも今のうちとばかりに荒くなった呼吸を少し整えた。 「比良、少し圧迫感があると思うが、我慢して」  えっ?  圧迫感?  何のことなのか理解できなくって、耳を傾けながら紅さんの肩にぐったりともたれる。 すると突然、紅さんの指が三本になって、中をこじ開けるみたいに大きく広げてきた。 「えっ? なにっ? やっ、紅さん!?」  ……怖い。  なんだかよくわからないけど、すごく怖い。 「比良、大丈夫。少しの辛抱だからね」  怯える僕を(なだ)める紅さんの声を聞きながら、だけどやっぱり怖くて、紅さんの両肩にしがみ付く。  そうしていると、僕の広げられた孔の中に、少し太めの硬くて冷たい、『何か』が当てられた。 「っなに? やっ、くれないさん!!」  驚いて、もたれていた紅さんの肩から顔を離す。  後ろを見れば……。

ともだちにシェアしよう!