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誘惑なんてしてないですっ! (11)

 紅さんの言われたとおりにお腹に力を入れる。 「そう。そのまま……力いっぱい」 「ん、んぅうう……」  体内に注ぎ込まれた紅さんの白濁と一緒に流し込まれたお湯がここぞとばかりに外へと向かって一気に吐き出す。それだけじゃない。  僕自身からも、先走りとごちゃ混ぜになった尿も吹き出した。 「いい子だね」 「やっ、ああっ!!」  僕のお腹に入ったお湯がまるで女の子が用を足すみたいに僕のお尻からも、そして自身からも、たくさん吹き出す。  おかげで膨れたお腹はすぐにぺったんこになった。  力尽きた僕は、もう身動きすらできなくて、目はトロンとしてしまう。  どうにか目を開けようと試みるものの、でもやっぱりダメで……。  紅さんはそんな僕の身体を、ノズルを取り付けたシャワーで洗い流してくれる。  汗をかいてしまった冷たい身体が、あたたかくなる――……。 「比良……ごめんね。わたしの身勝手な欲で君を苦しめて……ごめんね」  何度も謝る紅さんが涙で(かす)んでいる。  僕の体位はいつの間にか変わっていて、紅さんの膝の上で横抱きにされていた。 「本当は、しかるべき時まで君をこういうふうに抱くのは良くはなかったんだ。もう少し体調が整ってから、行うべき行為だったというのに……」  紅さんの濡れた睫毛(まつげ)が、視界に写る。  普段、微笑みを絶やさない紅さんが眉根を寄せている。  苦しいのは僕だったはずなのに、紅さんの方が苦しそうで……とても悲しそうで……。

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