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「愛している」の、本当の意味。(11)
いつだって、どこだって、紅さんは優しくって、綺麗な人だ……。
僕が小さく首を振れば、クスリと笑った。
「わたしはね、比良が欲しかったんだ。山奥ではじめて君を見た瞬間、君はわたしのモノだと思った。わたしを惑わす雨の甘い香りよりも先に、君に一目惚れをしたんだ。君を楽にさせたいと思ったのは真実だが、それ以上に下心があったからだよ? 純粋な愛おしい君」
愛おしい……また言った。
「比良、あのね。水も飲めない君に、口移しで水を飲ませたのは、ただ君を助けたいという気持ちだけではないんだよ」
えっ?
「ただ単純に、君の、ふっくらとした魅惑的な赤い唇を摘み取りたくなったんだ」
……チュッ。
「っ、んっ!!」
半分開いた僕の口に、紅さんの柔らかい唇が当たった。
離れる時のリップ音が、やけに大きく聞こえた。
「それにね、一緒にお風呂に入ったのは、君の身体を清潔にしたいという思いからではなかったんだよ」
――へっ?
呆然としたまま、紅さんの話を聞いている僕の口は、今、半開きだ。
ものすごく間抜け顔になっていると思う。
そんな僕に、紅さんはコクリと、ひとつ頷いて、また、話しはじめる。
だけど紅さんが話す内容は、僕には想像もできないものだった。
「比良の美しい裸を見たいがためだった。君は心も身体も美しい……」
紅さんの言葉に、動揺を隠せない。
頷くことも、否定することもできず、しばらく固まったままいると、紅さんの手が伸びてきた。
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