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「愛している」の、本当の意味。(4)

「構わないさ、どうせ花嫁探しをするのは昼間だ。それに、趣味でやっている株もパソコン片手でできるものだしな」 「俺の方も問題ねぇよ。生活するだけの金も、アルバイト代として、クレ兄が出してくれてるし……」  僕が知らないところで、こうやってたくさんの人が動いてくれている……。  紅さんも、僕をなんとか救おうとして命懸けで動いてくれている。  そっか、紅さんは僕を抱いて、力を与えてくれたんだ。  これ以上、霊体に悩まされないようにって……。  えっ?  ちょっと待って?  それって……。  ドクン。  僕の心臓が大きく震えた。  僕の中でさっき引っかかった、紅さんの言葉が――すんなりと入ってくる。  紅さんの言葉って言うのは、『妖力が僕に入った』っていうもの。  それが、僕の胸に、ストンと落ちてきた。  ――ああ、そうか。  そうだったんだ。  紅さんが僕と身体を繋げたのはひとえに、僕を助けるための手段にすぎなかったんだ。  紅さんは、『僕を抱く』ことが目的なんじゃなくて、『僕に妖力を送る』ことが目的だったんだ……。  きっと、『愛してる』っていう言葉も、僕を助けるための――身体を繋げるために言ったものだったんだ。  ……そっか、そうだよね。  こんな厄介な僕を、本当に好きになってくれるなんてこと、そんな都合がいいことなんてないよね。  だって素敵な紅さんには、こんな汚い僕よりも、もっとずっと素敵な人がお嫁さんになるハズだもん。  だったら、好きでもないのに、愛してるなんて言われたくなかった。

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