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「愛している」の、本当の意味。(20)
グルン。
前屈みだった体勢は、気が付けば仰向けにされ……。
目の前には、穏やかな紅さんはいなくて、とても強い視線を送ってくる血走った目をした、彼がいた。
紅さんが、僕を欲しがってくれている。
そう、感じたら嬉しくて、無意識に口元がほころぶ。
すると唸るような声と一緒に僕の口がまた塞がれた。
「比良、君はわたしを悦ばせる天才さんだね……」
「んぅっ……」
……ぽそり。
耳元で囁かれ、身体から一気に力が抜け落ちる。
だけど僕の下半身は膨れ上がる一方だ。
僕の行動で熱くなりすぎた紅さん自身と、僕自身が触れ合う。
「ん……っふ……」
「比良、一緒に果てようか……」
「ぅ……くれないさぁん」
コクコクと頷けば、紅さんは僕の両目尻にひとつずつ唇を落とした。
……ギュッ。
少しの隙間も作りたくなくて紅さんの首にしがみ付くと、それを見計らったように紅さんの大きな手が紅さんと僕自身を包み込み、扱きはじめる。
「ぁつい……ふぁ……」
「比良、比良。美しい、わたしの比良……」
僕の裏と紅さんが重なり、強く擦られる。
先端からは互いの先走りが交わって、いつもより濡れた音が響く……。
「比良……」
「ぁ、ぁああ……」
最後に強く握られて――紅さんと僕は勢いよく吐精した。
息も絶え絶えに僕の身体は疲れ果てベッドに沈み込むと、紅さんも覆い被さるようにして倒れてきた。
「は、ふ……は、ふ……」
しばらく紅さんの下で加速している心音を聴いていると、喉の奥でクツクツと笑う声が聞こえた。
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