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CHAOS
やはり、アレでは妖狐を相手にはできなかったようだ。
妖狐族が張った人間界と悪魔界を切り離す結界が邪魔している限り、わたしの力では最も強力な人外を呼び出すこともままならない。
精々呼び出せて人間界にも存在する蜘蛛が限界だ。
だが、ここで音を上げるわけにはいかない。
わたしには、どうしてもあの子がいる。
彼女を助け出すためには、何が何でも高貴なあの子の魂がいる。
もう少し。
もう少しであの子はわたしの術中に嵌る。
ともすれば、この地に住まう者に協力してもらおう。
微力ではあるが、仕方がない。
あの手の者は、ちょっとした餌をぶら下げてやれば、簡単に飛び付いてくれる。
そこを利用し、あの子を墜とす。
……ああ、もうすぐだ。
もうすぐ、あの子はわたしの手中に入り、彼女を再び取り戻すことができる。
もうすぐだ。
必ず君を捕らえるよ。
ねぇ、わたしの比良。
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