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夢、現。(1)
僕は、真っ白な空間に身を委 ね、ただ目を閉じていた。
だけど目を閉じているのに、どうして真っ白な空間だってわかるんだろう。
自分でも不思議だと思うけれど、たしかにそこは真っ白で何もないところなんだ。
ここ、どこかな……。
横たわった身体を起こそうとするけれど、指一本さえも動かすことができない。
どうやらかなりの妖力を使い果たしたらしい。
『……いちゃん』
『……にいちゃん』
――だれ?
誰かが僕を呼んでいる。
声に反応し、ゆっくり目を開けると、閉じていた時と同じで、やっぱりそこは真っ白い空間が無限に広がっているばかりだった。
僕は地面に沈まるようにして仰向けになっている。
ふと、右の方に視線を感じた。
目を向けると、12歳くらいかな。
女の子が満面の笑みを僕に向けていた。
『おにいちゃん、ありがとう』
クリッとした大きな目が印象的な可愛らしい女の子だ。
その子は楽しそうに声を上げて笑っている。
そして、彼女は静かに消えていく……。
――ああ、そっか。
あの子は無事に逝 けたんだ。
お父さんとお母さんが待つ場所に……。
「よかった……」
目尻からスルリと流れるのは、あたたかな涙だ。
鼻の奥がツンとする。
胸が熱くなって、ギュッてなる。
「よかったね……」
そして、僕はまた目を閉ざす。
静かに、涙を流しながら……。
――良
……比良。
「……比良 」
しばらくそのままぼーっとしていると、どこからか僕を呼ぶ声が聞こえた。
今度は誰だろう?
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