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僕の知らない紅さん。(4)

 ただ優しい瞳が僕を捉えていた。  視線が重なれば、僕の胸がドクンと跳ねる。  身体がとても熱い……。 「比良、おはよう」 「おはよう……ございます」  昨夜、あれだけ恥ずかしい行為をしたばかりなのに、紅さんは穏やかな表情で……まるで純真な天使みたいに微笑みを絶やさない。  だけど僕はとっても恥ずかしくって、すっぽりと身体を覆っている毛布をよりいっそう強く握り締める。そんな僕をよそに、紅さんは僕がいるベッドへと腰を下ろすと、湯のみを差し出した。  なに?  手の中で握りしめている毛布を外し、差し出された湯のみを受け取る。 「飲んで」  言われて、湯のみを口元まで運ぶ。  匂いを嗅げば、生姜のツンとした匂いと一緒に、まろやかな、甘いハチミツの香りが鼻腔をくすぐった。  生姜湯だ。  ほんわかあたたかい湯気が喉を潤してくれる。 「少し熱いから、気をつけてね」  紅さんの気遣う声と一緒に、湯のみに口をつける。  ふぅっと息を吹きかけ、生姜湯をコクンとひとつ、喉へと流す。  そうしたら、生姜の香りと、甘いハチミツの味。――あたたかいお湯の中に溶かされた葛粉……かな? それらがトロリと喉の奥に入ってくる。  喉から胸へ、胸から胃の中へ……身体の中がジンワリとあたたかくなる。 「おいしい……ありがとうございます……」  お礼を言って、にっこりと微笑み返せば、紅さんは穏やかに微笑んだ。  紅さんの優しい笑顔でほっこりして、もう一度、生姜湯を飲もうとした。  まさにその時だ。

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