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僕の知らない紅さん。(6)

「ちがっ!! 紅さんが何を考えているのか知りたかっただけでっ!」  ……睨んだのっ!  そう言おうとしたら……。 「わたしが考えていることを知りたいの? それなら教えてあげようか? 美しい比良をどうしたいのか。このベッドの上で……」 「ぅえええええっ!?」  それってそれって、またするってこと?  嗄れた声が気になるから、こうして生姜湯飲ませてくれるんじゃないの?  また抱かれたら……僕、もう声出なくなっちゃう!!  それにそれに、今は暁さんや朱さんだっているんだよ? 「やっ、あのっ、く、くれないさんっ!!」  そうやって狼狽えている間にも、ジワジワと、紅さんが僕との距離を詰めてくる。  紅さんと、なんとか距離を保とうと、腰を引くと……。  少しずつ、身体が傾いていく。  うわああああんっ、これじゃあ、自分から進んでベッドに入っていくみたいじゃない?  自分から襲ってくださいって言ってるみたいに見えない?  うわ~ん、どうしよう。  どうしたらいいの、これっ!?  助けてほしくて視界を泳がせていると、見えたのは、頭を抱える朱さんの背中を押して部屋から出て行く暁さんの後ろ姿だった。  ちょっと待って!  助けてほしいのに、どうしてこの場所からいなくなるのっ!? 「くれなっ、んんぅううっ!!」  今は朝だ。暁さんと朱さんがいるからって紅さんに訴えようとした直後、僕の口が塞がれてしまった。  重ねた唇から、口内に入ってくるのは紅さんの舌だ。  ついさっきも紅さんに抱かれてたくさんキスされたのに、またこうやって唇を重ね合わせる。

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