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第23話.勉強①

入学式の日にあった事を誰もが覚えていたが、拓海から静を追い込んでしまったと、あの直後に言われた面々は話題にする事もなく毎日を過ごしていた。 「誠さぁ、生徒会長とかその前に勉強した方が良くないか? さっぱり分かってないだろ」 敦の言葉に誠はプクッと口を膨らませる。 「生徒会長ってきっと文武両道の秀才だろ? 勉強出来ない子は嫌いなんじゃないか?」 「嫌われるのはイヤだ」 まだちゃんと話しも出来ていないのだから、嫌うも何もないはずなのだが、誠のお気楽な頭の中では、もう仲良しになっているのだ。 入学式が終わって、もう半月が経とうとしていた。 この学校では1ヶ月毎に小テストがあり、中間・期末試験とその全てで成績が決まることとなっていた。 留年という概念はないため、成績が悪いと補講で休みが無くなってしまう。 「どこが……分から…ない?」 「ん〜、どこが分からないのかが、分からない」 そこは自信満々に答えることではないと、敦は溜息をつく。 「そう言えば、静って成績いいの? 入試って順位渡されたよな? 因みにオレは15位だった。10位以内に入ることが目標かなー」 「流石、敦だ。僕はね138位。まさかの最下位では無かったんだなぁ〜」 ニコニコしながら自分の散々な順位を披露する誠と、見た目とは裏腹な敦の順位を聞いていた静はポツリと呟いた。 「1位…だった……」 「へっ? ……えぇぇぇーーーーーー?!!!」 誠の大きな声が教室中に響き渡る。 その声を真正面から受けた静は耳がキーンとする感覚を初めて味わっていた。 「1位って、新入生代表の挨拶した奴だと思ってた」 『打診はあったけど、喋れないから断った』 声は聞こえるがまだ耳がクワンクワンいっていて、喋れそうもない静は筆談を使用することにした。 「そういえば、創立以来初めて出たって噂聞いたけど、まさか?」 『全教科満点? 取ったけど』 静は何でもない事のようにサラサラと書いた。 「静、このバカを天才にしてやってくれないか? そしてオレにも勉強教えてくれ」 静は少し考えてからペンを動かした。 『なら、この3人で1〜3位を独占しよう』 ようやく我に返った誠がそれを読んで、信じられないものを見たように目を丸くした。

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