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第29話.小テストに向けて前進あるのみ①

あれから毎日3人は一緒に勉強をしていた。 誠と敦は分からないところがあれば、静に解き方を聞くようにしていた。 初めこそ手取り足取り教えてくれていた静も、今ではポイントをノートの端に書くだけになっていた。 そこに注意してもう一度問題を解くと、サラッと解けてしまうから驚きだった。 月末の小テストを前にして、誠と敦は静が作った仮想小テストを解いていた。 問題数は各教科10問。 試験時間は1教科30分。問題を見てすぐに解く順番を決めないと確実に時間が足りなくなる。 仮想小テストの結果は敦は間違えたのと間に合わなかったのを合わせても、全教科で5問で他は完璧だった。 静は敦用に作った模範解答と解答用紙を一緒に渡した。 誠の問題も勿論敦と同じものだ。 その結果は予想に反して半分以上正解していた。 目覚しい進歩である。 静は誠用に作った模範解答と解答用紙を一緒渡す。 「静、本当にコレ僕の?」 誠本人がその結果を信じられない気持ちで見る。 今までこんなに丸がついた事などなかった。 静は頷くと2人を見る。 「多分…試験…時間……は…もっと……長い…と…思う」 「落ち着いて解けば、もしかしたら」 『2人とも、僕も入れて3人共満点だって夢じゃない』 期待を込めた敦の声に、静が続けた。 「僕はまだ無理だと思う。でもね、最近の授業の内容が分かるようになってきたんだ! これも一緒に勉強してくれてる2人のお陰だね」 誠が使う問題集と参考書は中学生のものになっていた。 基礎をしっかりと固めたため、全教科においてちょっとした応用問題であれば問題なく解けるようになっていた。 “生徒会長に紹介してもらうため”だけに勉強を始めた誠だったが、今では分からなかった事が分かるようになる、それが楽しくて仕方がなかった。 何度、先生が静だったら良かったのにと思った事だろう。

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